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(プロ野球を「研究する」編No.54)三振を減らしても、チームの得点は増えない!? 各打撃指標の得点相関を見る

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 こんにちは!! と申します。当ブログにお越しいただき、誠にありがとうございます。

 今回は、

プロ野球を『研究する』編」

の第54弾として、

三振を減らしても、チームの得点は増えない!? 各打撃指標の得点相関を見る

をお送り致します!!

 

 

「研究する」編で使用される、”奇跡の野球の分析手法”「セイバーメトリクス」とは!?>

 

 セイバーメトリクスとは、野球の戦略・戦術や競技者(選手)を、統計学すなわち「科学」を用いて分析・評価するという、今までにない斬新な手法の事です。野球の本場・アメリMLBでは、この手法を導入したオークランド・アスレチックスが、資金難による低迷から脱して常勝球団になった事等もあって、セイバーメトリクスの有用性が認められており、この手法を用いた球団運営が主流となっています。

  野球の常識を覆し、弱小球団を常勝球団に変貌させる等の数々の奇跡を起こした、いわば”奇跡の野球の分析手法”であり、これを知れば、あなたも「超」野球通です!!

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<はじめに>

 

 以前、OPS出塁率長打率)の有用性を確かめる記事で、相関係数」を利用して、OPSの有用性の高さを実証しました。

 今回は、この相関係数」を利用し、「三振」「本塁打」「四球」「盗塁」等、様々な攻撃面での指標が、それぞれどれ程「チームの得点と関係性があるか」=得点相関を検証します。

 

 

相関係数とは!?>

 

 「相関係数」とは、「チームOPS」と「1試合当たりのチーム得点」等の「2つのデータの関係性の強弱」を数字で示すものです。

 

 相関係数の値は、必ず「1」から「ー1」の間に収まり、2つのデータの関係性が強い程、絶対値が大きくなります(「0」から離れ、「1」か「ー1」に近付く)。

 逆に、2つのデータの関係性が弱い程、0に近付きます。

 

 そして、2つのデータの関係性が強く、「一方のデータの値が大きくなると、もう一方のデータの値も大きくなる」傾向が強い場合は、「1」に近い値が算出されます。

 

 逆に、2つのデータの関係性は強いが、「一方のデータの値が大きくなると、もう一方のデータの値は小さくなる」傾向が強い場合は、「ー1」に近い値が算出されます。

 

 例えば、関係性が強そうな、2017年のプロ野球の「チームの得失点差(得点ー失点)」と「チームの勝率」の相関係数は、0.966497524という、極めて「1」に近い値となっています。

 やはり、予想通り、得失点差とチームの勝率は関係性が強いという事です。

 

 逆に、関係性が弱そうな、2017年のプロ野球の「監督の身長」と「チームの勝率」の相関係数は、0.356956597という、先程よりも「0」に近い値が出ました。

 やはり、予想通り、監督の身長とチームの勝率は関係性が弱いという事です。

 

 

<各指標と「チームの1試合当たりの得点」との相関係数を見る>

 

 では、各指標と「チームの1試合当たりの得点」との相関係数(得点相関)を見ていきます。

 今回は、「チーム出塁率」、「チーム長打率」、「チームOPS」との相関係数も算出してみました。

 

●得点相関表と備考・データの見方・指標の説明等

・データは、プロ野球 ヌルデータ置き場 - Ver3.0 - 2017年度版(2017/11/08に閉鎖)を参照した(閉鎖前に閲覧)。

・対象データは、2008~2017年(10年分)のプロ野球のデータ(12球団×10年=120チーム分)

・データの見方は、マトリックス表の「OPS」と「『1試合当たりの得点』との相関」のマスであれば、「チームOPS」と「チームの1試合当たりの得点」の相関係数となっている。

・順位は「チームの1試合当たりの得点」との相関係数の絶対値が大きい順=得点との関係性が強い順。

・一般的に、相関係数の絶対値が0.7以上だと「強い相関(関係性)があると言える」と言われており、0.2以下だと「ほとんど相関(関係性)が無いと言える」と言われている。

(表の下にも続きます。)

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・長打は、二塁打三塁打本塁打の合計。

・塁打の公式は、「単打×1+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4」。

長打率の公式は、塁打÷打数(「長打÷打数」=「打数に占める長打の割合」とは別物!!)。

OPS出塁率長打率。打者にとって重要な「塁に出る能力」と「走者を進め、還す能力」を足し合わせた指標。

IsoD出塁率-打率。打者の四死球による出塁力を測る。

IsoP長打率-打率。打者の長打力を測る。

BABIP=フェアグラウンドに飛んだ打球が安打になった割合。

 

●「三振」の多寡は、チームの得点とあまり関係が無い

 

 まず最初に驚かれたのは、やはり「三振」と「三振÷打席(K%=打席に占める三振の割合)」の項目でしょう。

 

 どちらも絶対値が小さいため(一般的に絶対値が0.2以下だと「ほとんど相関=関係性が無いと言える」と言われている)、「三振の多寡は、チームの得点とあまり関係が無い」という事になります。

 

 しかも、どちらも正負の符号が「プラス」です。

 符号が「プラス」の場合、「一方のデータが大きくなれば、もう一方のデータも大きくなる」という事になります。

 つまり、「三振の多いチームは、得点も多い」という事になります(ただし、絶対値が小さいため、その傾向は弱い)。

 

 整理すると、「三振を減らしても、チームの得点は増えない」という事になります。

 

 信じられないと思う方も多いかも知れませんが、実は、セイバーメトリクスの世界では、三振の多寡はそれ程重視されていません。

 

 打撃で重要なのは、以上の表が示す通り、「塁に出る事」と「走者を進め、還す事(長打を打てば、より走者が進み、より走者が還る)」です。

 

 三振を回避したからといって、必ず出塁できる訳ではありません(内野ゴロ等の凡打に倒れる事もある)。

 逆に、三振よりも相関係数の絶対値が大きい「四球」を選べば、必ず出塁する事ができます。

 そして、先程と同様に、三振を回避したからといって、必ず長打を打てる訳ではありません。

 

 攻撃の目的は「点を取る事」です。点を取るのに重要なのは、「塁に出る事」と「走者を進め、還す事」です。三振が多くても、重要なこの2つができれば良いのです。最終的に点が取れれば良い訳ですし、点が取れなければ意味が無いのです。

 

 実際に、三振は多いが、四球や長打が多く、「塁に出る能力」と「走者を進め、還す能力」を足し合わせた指標・OPS出塁率長打率。上の表の通り、得点との関係性が非常に強い)が高いという打者は、少なくありません(ソフトバンク・柳田選手や、巨人・丸選手等)。

 

 もちろん、「三振の多寡が得点と全く関係無い」とは言えません(27打者連続三振すれば、当然得点は「0」)。

 ただし、三振を減らす事よりも、「四球や長打を増やす」といった、重要な事があるという事です。

 

●効果の薄い「スモール・ベースボール」

 

 「盗塁」や「犠打」の相関係数の絶対値が小さい事も、見逃せません(以下の記事もご覧ください)。

(プロ野球を「研究する」編No.15)セイバーメトリクス入門⑪~「スモールベースボール」は、やらない方が良い!? バントと盗塁の有用性を確かめる!!「バント編」~ - プロ野球FUN

(プロ野球を「研究する」編No.16)セイバーメトリクス入門⑫~「スモールベースボール」は、やらない方が良い!? バントと盗塁の有用性を確かめる!!「盗塁編」~ - プロ野球FUN

 

 しかも、「犠打」の相関係数の値は「マイナス」です。

 つまり、「犠打の多いチーム程、得点が少ない」という事になります(ただし、絶対値が小さいため、その傾向は弱い)。

 「犠打の多いチームは、得点力が低いから犠打をしている」という反論もあると思いますが、それならば「犠打で低い得点力をカバーする事はできない」という事になります。

 やはり攻撃の基本は「打つ事」だという事です。

 

●見逃せない「二塁打」の価値

 

 最後に注目したいのが「二塁打」です。

 「二塁打」の相関係数の絶対値は、本塁打にこそ及ばないものの、0.7近くあります。

 そして、本塁打」よりも「長打(二塁打三塁打本塁打)」の方が相関係数の絶対値が大きいのです。

 

 基本的に、二塁打本塁打よりも出やすく(チーム本塁打がチーム二塁打を上回る事はあまり無い)、本塁打はそれ程多くないが、二塁打が多く、トータルの長打数はかなり多い」という選手やチームは、決してあなどれないという事になります。

 

 実際に、2018年にMLBでワールドチャンピオンになったレッドソックスは、本塁打こそライバルのヤンキース(267本・両リーグ1位)に及ばなかったものの(208本・両リーグ9位)、両リーグ最多の355本の二塁打を放ち、長打数(594本)と長打率(.453・両リーグ1位)、さらには得点数(876・両リーグ1位)でヤンキース(559長打・長打率.451・851得点)を上回りました。

 レッドソックスは、「二塁打」の力で本塁打1位」を「長打率」で上回ったのですから、「二塁打」もあなどれません。

 

 なお、三塁打相関係数の絶対値の方が、二塁打の絶対値より小さいのが気になるかと思います。

 これは、三塁打はそもそも発生頻度が少ないため、あまり得点に影響を及ぼしていないという事や、打力と走力(プロの試合の場合、当然三塁打は走力が必要)を持ち合わせた選手が少ないためだと考えられます。

 

 

<おわりに>

 

 プロ野球の黎明期は、かなりの「投高打低」であったため、長打の発生頻度が極端に少なく、この記事で掲載した表と、全く異なる結果が出ていたと考えられます(長打や長打率の重要性が低かったはず)。

 

 当然、年ごとにもそれぞれの指標の重要性は変化します(2018年は比較的「打高投低」で得点が入りやすかったため、盗塁や犠打の重要性はより低かったと考えられる。にもかかわらず、広島は日本シリーズで盗塁を繰り返し、しかも盗塁刺し続け、敗退した・・・)。

 

 常にその「野球の変化」を見守っていく必要はありますし、逆に言うと、時代に則した野球を行う必要があります。

 

 「時代に即したやり方」は時代によって変化するので、「常識」を疑う必要があるのです。その「常識」は、「前の時代のやり方」であるかも知れないからです。

 

 この「得点相関」というのは、時代に即した野球の「大きなヒント」になるでしょう。

 

 

当ブログの記事を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!!